【長野県看護大広域看護学講座地域・在宅看護学分野講師 柄澤邦江】
一人暮らし高齢者の背景はさまざまである。若いころからの一人暮らしの延長線上で一人暮らしをしている人、親が亡くなって一人暮らしになった人、配偶者と死別あるいは離別し、子どもとは別居している人、あるいは子どもがない人など、誰でもなる可能性がある。頼れる家族がいない一人暮らしの方でも、自分が望む場所で生活し、一人の人として尊厳をもった最期を迎えられるよう、社会の仕組みが必要である。
私が2006年に長野県内で行った一人暮らし高齢者の調査では、男性も女性も共に「孤独」を感じないようにしている工夫が見られた。
妻を数年前に亡くした男性のBさんは、昼間は友人と趣味の歴史を探求したり、ゲートボールなどの運動をしながら、夜は早めに休んで早朝に起きるという生活をしていた。「男の一人暮らしは寂しいものだ。友人がいないと寂しい。夜寝る時は寂しいから、ラジオを枕元で流している」と語っていた。
平光※1の研究によれば、「独居群では、男女とも年齢が高くなるにつれて孤独感による自殺死亡率が上昇していた」という。また、内閣府による調査※2では、孤独死(孤立死)を身近な問題と感じる一人暮らし高齢者(60歳以上)が4割を超えていた。男性一人暮らし高齢者が、自分を大切にしながら安心して暮らすためには、どのような地域を築けばよいのだろうか。
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