厳しい財政状況の打開に向け、政府は歳出改革の重点分野に社会保障を掲げている。許可病床200床未満の中小病院の経営環境は今後、厳しさを増しそうだ。他方、中小病院には、高齢化がさらに進む社会を支える大きな役割が期待される側面もある。この期待は、診療報酬項目に既に反映されており、キーワードは大病院との「機能分化」だと言える。2016年度診療報酬改定で注目すべき診療報酬項目を紹介する。【佐藤貴彦】
厚生労働省によると、13年10月時点で中小病院は全国に5884施設あり、全病院の約7割を占める。ただ、全病院数の減少傾向が続く中、中小病院数も減少が続いており、08年からの5年間で201施設減っている =グラフ1= 。
中小病院の施設数が減少する理由を見ると、毎年、一定数が開設するも、100施設前後が廃止されている =グラフ2= 。一方、200床以上の大病院では開設数と廃止数の均衡が続いており、こうしたデータから中小病院の経営状況の厳しさがうかがえる。
■地包診の届け出が患者のインセンティブに?
そんな中、診療報酬項目には200床未満の医療機関にしか届け出が認められないものが幾つか存在する。その目的は、医療機関同士の機能分化と連携を進めることで、医療提供体制の効率性を高め、高齢化による患者増に対応したり、大病院の医師の負担を軽減したりすることとされている。
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