■当たり前の病気として、生活と命に深刻に影響する認知症
国がオレンジの名を冠した認知症施策を掲げたのは2012年。この年の9月、厚労省は、病院・施設を中心とした認知症ケア施策を在宅中心の認知症施策へシフトすることなどを背骨とした「認知症施策推進5か年計画」を公表した。この計画では、認知症ケアパスの作成や認知症初期集中支援チームの設置など、新機軸が盛り込まれてはいたものの、その内容は、基本的に厚労省の所管にとどまっていた。 こうした中、厚労省は、認知症の人の将来推計(65歳以上)を示した。それによると、12年段階で既に約462万人に達した認知症の人は、25年には1.5倍の約700万人にまで増加すると予測。さらにMCI(正常と認知症の中間)状態の人も、12年段階でも約380万人いることが明らかとなった。つまり、3年前の段階でも、認知症の人とその前段階の人を合わせると800万人に達していたことになる=図1=。これは65歳以上の人口の4人に1人に当たる数だ。 それだけではない。認知症が原因とされる行方不明者も、1年間で約1万人に上っていたことが警察庁の調査で判明した。少なくとも3年前には、既に認知症はごく当たり前の病気として、国民の生活や命に深刻な影響をもたらしていたといえる。
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