【総合病院水島協同病院 薬剤部主任 大西順子】
厚生労働省は、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めている。「高齢になっても、できる限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで続ける」には、薬物療法のサポートも非常に重要だ。しかし、薬局薬剤師は医療機関から臨床所見の情報が提供されないまま、患者指導を行わなければならなかったり、病院と薬局で説明に違いがあることに患者が不信感を持ったりなど、「病院」と「薬局」の連携が不十分では患者のアドヒアランスを向上させることは非常に困難である。
■薬局から参加、「薬剤師外来」の見学研修
そもそも当院で「薬剤師外来」を始めた背景には、糖尿病の外来患者の多くがインスリン自己注射を正しく実施できていないという現状があった。そこで、病院薬剤師による指導の場として「薬剤師外来」を設けたわけだが、同時に「保険薬局では、きちんと指導が行われているのだろうか。薬効や用法・用量の説明のみになっていないか」という懸念を抱いていた。
患者のアドヒアランスを向上させるには、指導の統一を図るべきだ―。そう考え、「薬剤師外来」開始から約1か月後の2010年9月、地域の薬局薬剤師に呼び掛けて「薬剤師外来」の見学研修を行った。「薬剤師外来」とは何か、病院でどんな指導を行っているのかを見てもらったのである。
(残り1722字 / 全2337字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】