【総合病院水島協同病院 薬剤部主任 大西順子】
「入院から在宅、地域へ」という掛け声の下、地域包括ケアシステムの構築が進められている。薬物療法という視点から地域包括ケアシステムを考えたとき、病院の薬剤師は何をすべきなのだろうか-。
■インスリン患者、ほぼ全員に手技の不備!?
「薬剤師外来」で指導対象の中心としたのは、まずインスリン治療の患者だった。
インスリン療法が有効かつ安全に行われるためには、患者本人が正しい自己注射の手技を身に付け、「各種インスリン製剤」と「各種デバイス」を適正に使用できなければならない。当時、外来患者へのこうした手技指導は看護師が担当していたが、看護師を対象に行った院内研修会で、「薬剤を振り混ぜるためのビーズが入っているのを知らなかった」「打つ場所を統一することを知らなかった」といったケースも見受けられた。インスリン療法の開始時の教育入院などで、専門家である薬剤師がしっかり患者に導入を行っていたとしても、正しく持続されているとは必ずしも限らず、早急に患者の手技を確認する必要性を感じていたのである。
そこで、インスリン自己注射患者60人を対象に正しい手技で自己注射できているかを調査した。その結果、何と58人(96.7%)に何らかの不備が確認されたのである。
次回配信は9月29日6:00を予定しています
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