【聖マリアンナ医科大学病院薬剤部長 増原慶壮】
聖マリアンナ医科大学病院薬剤部は、2001年7月から世界標準の薬剤師職能の役割を果たすために、ファーマシューティカルケア(患者の利益を中心に考える世界共通の薬剤師の行動哲学)の理念である「患者のQOLを改善するという明確な成果を引き出す目標のために、責任ある薬物治療を提供する」という考えに基づいて業務を遂行することにしている。この具体的な行動計画の中で、廉価で適正な薬剤の選択を挙げ、一般名処方による後発医薬品の推進を掲げている。
02年4月に後発医薬品の促進策が開始され、03年4月に特定機能病院へのDPC導入が決定された。このため当院では、02年4月から後発医薬品の導入に向けて薬剤部が中心となり検討を開始した。03年2月には、理事会や教授会の承認を経て、同年5月に注射薬64品目を後発医薬品に切り替えた。そして04年5月、さらに内服薬115品目を後発医薬品に切り替え、一般名処方を開始した。
後発医薬品を積極的に導入した背景には、(1)DPCの導入(経営的観点)(2)医療費削減への貢献(国家財政的観点)(3)患者の経済的負担の軽減(家計的観点)(4)薬剤師の職能向上(ファーマシューティカルケアの実践)-の4つの要因があった。
当院では、後発医薬品を普及するため、入院においては、01年10月から病棟に薬剤師を配置し、後発医薬品の切り替えに伴う患者への説明、情報の収集、医師と看護師などへの後発医薬品の情報提供はすべて薬剤師が担った。また、外来においては、患者が選択するというコンセプトの下に一般名処方を発行した。当時、一般名になじみが少ないということで、当院の処方オーダリングシステムを改修し、先発医薬品の商品名を入力すると自動的に一般名に変換できるようにした。
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