【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
医療法人が経営する内科診療所で、院長の退職希望によって勤務医を探すことになった。数か月かかると考えていたが、2週間ほどで人材紹介会社から医師紹介があった。「ツイテル」。そう思った。30代半ばの内科医で、通勤時間も30分。大学から病院に派遣され、転勤もなくそのまま病院に就職し、10年間勤務していたが、退職してから数か月が経過していた。経歴に問題はない。お互いに条件が合ったのでクリニックで面接となった。温和でおとなしそうに見える。病院では外来と病棟を担当していた。患者がどんどん増えるとは予想できないが、普通に診療してもらえればよい。数日アルバイトで診療内容を確認し、早速勤務してもらうことになった。
問題もなく、職員の評判もよかった。患者の引き継ぎでのトラブルも発生しなかった。ところが、数か月たって突然、看護師から連絡が入った。「このごろ時々ちょっと身が入ってないというか、ボーっとする時があるので気になります」と心配そうな声。「何か患者さんとのトラブルがあったの?」と聞くと、「それはないのですが…」と言うので、「どうしたのだろう。ちょっと調べてみるから」と話し、電話を切った。早速、紹介してもらった会社の担当者に連絡を取って、先生の様子を診療態度も含めて確認してほしいとお願いした。
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