【医療法人おひさま会 理事長 山口高秀】
前回は、在宅医療における多職種連携は「他職種連携」であるのみならず「他組織連携」でもあり、病院内のそれとは全く違う世界であることをご紹介しました。しかも、医師のスタイル次第では、情報の流れを邪魔するコミュニケーションの壁ができがちな世界でもあることも確認し、「情報伝達のハブ」を置く大切さをご説明しました。今回は、情報そのものとそれを共有する意味にフォーカスしてみましょう。
ここで少し、在宅医療にかかわる人々の職種を挙げてみましょう。
まずは、診療所の医師、病院の医師、薬局の薬剤師。看護師は医療機関で働いている方もいますし、訪問看護ステーションで働いている方もいます。介護支援センターで働いているケアマネジャーもいれば、施設で働いているケアマネジャーもいるし、ヘルパーは介護事業所で働く方も施設で働く方もいます。そして、介護にはもちろん家族がかかわります。さらに、リハビリの方もいますし、歯科医や歯科衛生士、管理栄養士もいます。地域の民生委員や後見人、住んでいるマンションの管理人などがかかわってくる場合もあります。
もうお分かりだとは思いますが、これだけ多くの職種に必要な情報を、すべての職種が網羅的に把握することは不可能です。そして、もし仮にITを使って情報を1か所に集約できたとしても、それをすべて利用する職種は存在しませんし、そんな労力をかけてまで集約させなくても、「情報として取り出される前の生の状況」は「現場に既に存在している」のですから、各自が現場に情報を取りに行く方が、よほど現実的です。
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