【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
前回紹介した院長が多額の借金をしていることが判明してから1週間後、クリニックの様子を電話で職員に聞いてみると、昼休みに見慣れない人が来ているという。高圧的な電話の回数も増えている。院長は診療中も、どこか落ち着かない感じで携帯電話を見ていることもあるという。それに加え、夕方診療が終わると数人が車で迎えに来て出掛けていく。こんな状況でまともな診療ができるはずがない。何かが起こっているが、全容がつかめない。借りている金額が返せる額であることを信じたい気持ちであった。「そこまでばかなことはしないだろう」。裏金融的なところからお金を借りていないことを祈った。
銀行から借りられるわけがない。「早く全容を把握しなければならない」と感じた。わたしに診療所を紹介した医療機器メーカーの担当者に状況を説明し、話し合った。すると、「実はわたしも貸しているのです」と打ち明けてきた。「何で早く言わなかったの?」と言うと、借用書を見せてくれた。貸したのは2年以上前で、まだ全く返済されていないとの説明。
「『少しでも返してください』と頼んでいるのですが、『すまない。もう少し待ってくれ』と話されるもので」「会社に知られたらまずいでしょ」「分かっていたのですが、収入も多いので、すぐ返してもらえると…」。誰彼構わず借りている。「なぜ言わなかったの?」「すみません」。担当者はわたしを紹介することで、立て直して返済をしてもらおうと考えたようだった。
次回の記事配信は、10月31日5:00を予定しています
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