【宗和メディカルオフィス代表　原田宗記】

　開業4年目の内科、循環器科の診療所で、医療機器メーカーからの紹介。所得が多いにもかかわらず資金繰りが苦しいというので内容を見てほしいとのこと。また、事務長に対して金銭的な面で疑いを持っているような話もあった。診療収入は月1000万円以上、所得5000万円を超える。2階はデイケアで、時流に乗った内科診療所。また、事務長が社長となったデイサービスもスタートしている。普通に経営していれば資金繰りに困るということはあまり考えられない。診療外での理由または開業方法に問題があるかもしれないと考えた。

　土地も建物も自己所有。土地・建物の担保状況や借入先を調べていくうちに、借入金の中に銀行以外から借りている個人名義の借り入れが確認された。その中には職員や関係者の名前もあった。借入金の使途を確認したところ、競売で購入した物件、クリニックの設備改修工事などに関するもので9000万円以上、そのほかの借り入れを合わせると1億2000万円。借入方法は銀行や信販会社などさまざまで、開業時にお金が足りなくなって多方面から借りたと想像させる内容であった。

　開業前、院長は2駅先の病院で循環器の勤務医として働いていた。開業するきっかけは、友人の不動産関係者から「倒産する自宅兼工場がある。安く購入できそうだから、そこで新しく診療所をやってみないか」と誘われたとのこと。駅から離れてはいるが住宅街なので、立地として悪くはないが特によいとも言えない場所。それでもしっかり収益が出ているということは夜8時までの診療、介護施設の併設、院長のキャラクターによるところが多いと考えられた。バイタリティーに富む院長であった。


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