【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
開業後、余裕があるかないかは自己資金の量による部分が多い。金融機関は資金総額の20-30%の自己資金の有無を確認する。所有不動産については担保価値が評価額の20-30%減で、住宅ローンの残額でマイナス評価になることもある。
無担保・無保証(第三者)融資がクローズアップされているが、未回収案件も増え金利が高くなった。金融機関によっても対応はさまざまで、開業ローンに力を入れる地方銀行もある。中には医療コンサルティング会社と連携して、行き過ぎと思えるような貸し出しで保証人などを含めがんじがらめにしてしまう例も見られる。
身の丈に合った開業がベストだが、設備投資で夢を追い求め、開業後の運営に苦しむケースも後を絶たない。戸建てのケースは借入金が億を超えることもあり、かかわるコンサルタントの開業方法に疑問を持つこともある。
開業資金で資金割合が多いのは建物(内装)と医療機器。この総額で全体の50%以上を占める。患者へのアピールのために費用をかけるのは理解できるが、経営を圧迫するようでは何のためかと言いたくなる。また、医療機器も病院で使用するような機器の導入を考えたがるが、必ずしも患者にその価値は伝わらない。高額機器導入でも採算が取れる見込みがあるならよいが、開業当初の少ない患者数で利用率が低いと予測されてもリースなどで導入し、2、3年全く採算が取れない場合もある。病院へ来院する患者と診療所へ来院する患者の違いは明らかで、求めることが違うことも十分理解した上で検討するのが常識的な判断と言える。
次回の記事配信は、9月23日5:00を予定しています
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