【港北ハートクリニック院長 長橋達郎】
2009年5月に、横浜でクリニックをオープンしましたが、なにぶん初めてのクリニックづくりで、限られた予算の中で致しましたので、内装が完成した後で気になる部分が幾つか登場してきました。そのうちの1つが診察室の防音対策でした。
患者さんの中には高齢で難聴の方々も多く、必然的に会話の声はお互いに大きくなります。何より当院のビジョンとして、来院された方が心底元気になるクリニックをつくることを掲げていますので、元気よくお話しするようにしていました。自分は診察室にいるので待合の様子は分からなかったのですが、ある時スタッフから診療中のわたしの声が待合にだいぶ筒抜けになっていることを指摘され、どきっとしました。
当院は、「医食同源と自然回帰」をモットーとしていますので、当初から待合には癒やしやマスキングの効果を考えて、鳥の声や小川のせせらぎ音などが入った環境音楽をBGMとして天井のスピーカー2か所から流していました。しかし、通常のスピーカーではマスキング効果は不十分だったわけです。幸いなことに、それまでは患者さんからはっきりとしたクレームはなく、せいぜい「先生は元気があるね」と言われるくらいでしたので、外に会話がそんなに漏れているとは気付きませんでした。
しかしながら、05年に施行された個人情報保護法の影響で医業界でもだいぶ個人情報やプライバシー保護の問題が浸透してきていたこともあって、改善の必要性を感じました。とはいえ、診察室の壁や扉に対する防音工事は費用がかさみますし、開業間もない当院にはそこまでの余裕はありませんでした。
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