【獨協医科大神経内科准教授 辰元宗人】
9年前の外来診療時、片頭痛の患者さんとの会話の中で「片頭痛発作の時、自宅の照明がまぶしくてつらい」という悩みを聞いた。自宅におけるリビングの照明状況を尋ねたところ、天井に照明が付いていて、照明光源は白色の蛍光灯(赤みを含まない強い白色)とのことであった。わたしは片頭痛には白色が刺激色になることを知っていたので、リビングの照明を電球色の蛍光灯(暖かみのある落ち着いた色)へ変更することを勧めてみた。
次回受診時に、その患者さんに片頭痛の状況を聞いたところ、「リビングの照明を電球色の蛍光灯に変更したことによって片頭痛発作の程度が軽くなりました」という、とてもうれしい返事を頂いた。さらにその患者さんは、リビングだけでなく、自宅にある照明のほとんどを白色から電球色へ変更することにしたという。
照明の色を変えることによって、片頭痛の治療ができる「光の処方箋」について意識し始めた瞬間であった。
(残り2140字 / 全2551字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】