【北大大学院保健科学研究院 健康イノベーションセンター客員研究員 岡﨑光洋】
これまで、お薬手帳を電子化する最大の効果は「医療の個人最適化」につながること、自己の健康管理に対する患者さんの意識と医療消費者としての自主性が変わることにあるという視点で述べてきました。最終回は、医療者から見た電子お薬手帳の活用についてまとめたいと思います。
連載第4回で、個人の電子お薬手帳データを薬局の薬歴システムに転記し、処方監査(薬歴確認)に活用するという、わたしたちの実証研究の事例を紹介しました。これは、スマートフォンでデータを管理している例でしたが、現在クラウドサーバーでお薬手帳のデータを管理するタイプのシステムも複数提供されています。
また、医療機関の電子カルテに電子お薬手帳のデータを移すことができれば、カルテへの転記も効率化しますし、医師の処方設計にも役立ちます。さらに、院外処方せんの調剤後、電子お薬手帳データとして速やかに医療機関にフィードバックされれば、服用薬の内容や状態をカルテに反映できます。
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