【愛知県がんセンター中央病院薬物療法部長 室 圭】
近年、医薬分業が進み、経口抗がん剤、経口分子標的治療薬、支持療法薬を病院外の薬局である保険薬局で処方されることが多くなってきた。実際、愛知県がんセンター中央病院(当院)において、院外処方率は現在80%を超えている状況となっている。医薬分業は、医師と薬剤師の役割を分け、不適切薬を排除、過剰投薬などを抑制し、二重チェックなどを実施することに寄与していると考えられ、がん薬物療法を適正に実践していく上で重要な制度になっている。その一方で、保険薬局では、患者に関する情報が少なく、適切な服薬指導が困難な状況であるといった問題点も報告されている。
新規承認・導入薬に関する情報共有など、これまで行ってきた研修会での成果は少なくない。その中でも特に、多くのがん種、かつさまざまなレジメンで広く用いられ、それでいて消化器症状や骨髄抑制などの副作用も多彩であるティーエスワン(TS-1)の副作用対策を共通認識でき、患者への指導、副作用マネジメントを効果的に実践できたことは大いなる成果と自負している。以下、TS-1の副作用マネジメントにおける医看薬薬連携の実際を紹介する。
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