来年4月に予定される介護保険制度改正では、「規模の小さな通所介護事業所の指定権者を都道府県から市町村へ」「介護予防の通所介護は市町村事業へ」「宿泊付き通所介護は登録制に」など、通所介護に関する改正が数多く盛り込まれている。当然ながら、「茶話本舗」のブランドで知られる夜間対応型小規模デイサービスの最大手・日本介護福祉グループも、この制度改正の“荒波”にさらされる。茶話本舗は、この“荒波”をどのように乗り切るのか。さらに、制度改正が業界にもたらす影響は-。同グループの創業者・藤田英明会長に話を聞いた。【聞き手・ただ正芳】
―介護保険制度改正も含んだ「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」は現在、国会で審議中ですが、特に小規模通所介護に関する制度は、かつてないほどの大改正となりそうです。
指定権者を都道府県から市区町村に変更するということは、小規模の通所介護に総量規制をかけるということを意味します。その結果、事業所数の伸びは鈍化し、今後10年余りで高齢者の数は急増するでしょう。そしておそらく、今回の制度改正によって「通所介護を使いたくても使えない」という人も増えると思われます。 ―現在、介護保険サービスの主な利用者層である後期高齢者の人口は1471万人で、通所介護の利用者は、要介護の認定を受けた人だけでも126万人余りいます。2025年の後期高齢者の人口は2179万人に達すると推定されていますから、通所介護の利用を望む要介護認定者は200万人に達してもおかしくありません。
その人たちの何割かが、施設にも入れず、通所介護を利用することもできない可能性が懸念されるのです。もしそうなった場合、本人はもとより、その家族もレスパイトの機会が得られないまま、厳しい介護生活を強いられることになるでしょう。既に、「老老介護」や「認認介護」は大きな社会問題として認識されてきていますが、ニーズの受け皿が整わなければ、この問題は、さらに深刻さを増すと思われます。 ―他のサービスが、受け皿になることはないでしょうか。
ショートステイやグループホームなどは、その役割を果たすことができます。サービス付き高齢者向け住宅にも、その可能性があるでしょう。ただ、こうしたサービスが、通所介護の利用者の完全な受け皿となり得るかというと疑問が残ります。ショートステイなどは、機能だけで見れば格好の受け皿となり得ますが、このサービスには、特別養護老人ホームに併設するという設備基準があり、簡単には施設数が増えないのです。次の制度改正で思い切った緩和をすれば話は別ですが、現状のままであれば、夜間対応型小規模通所介護のニーズを完全に受け切ることは難しいでしょう。
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