2014年度診療報酬改定をめぐり、中央社会保険医療協議会による点数の配分をめぐる具体的な議論が始まります。そこで、中医協でのこれまでの審議の状況を入院、外来、在宅医療ごとにまとめました。【兼松昭夫】
■7対1にメス
入院医療に関しては、7対1入院基本料の算定を届け出る病院の絞り込みが最大の焦点になっている。厚生労働省は、現在の算定要件を厳しくしたり、新たな要件を追加したりして、急性期機能を整備した病院以外による算定をしにくくする方針だ。平均在院日数の要件に関する見直しでは、次のような内容が論点になっている。
〈平均在院日数の要件に関する見直し〉
・ 短期間に退院できる手術(4泊5日以内)や検査(3日以内)の対象患者を、平均在院日数のカウントから除外
・ 7対1と10対1の特定除外制度を廃止し、長期入院患者の取り扱いを「13対1」「15対1」と同じ形に変更
特定除外制度は、本来は診療報酬の減額対象になる長期入院(90日超)の患者でも、難病など12通りある「特定除外項目」のどれかに該当すれば減額を回避できる仕組み。
12年度の改定では、13対1と15対1でこの制度を廃止。これに伴って、▽長期入院を含めて平均在院日数をカウントするが、出来高で算定する▽平均在院日数は長期入院を含めずカウントするが、医療区分やADL区分を用いた「療養病棟入院基本料1」と同じ評価にする―のどちらかを、医療機関が病棟単位で選ぶ形にした。14年度には、1年程度の経過措置(準備期間)を経て7対1と10対1もこれと同じにする見通しだ。
一般病棟入院基本料の場合、7対1を算定するには入院患者全体の平均在院日数を「18日以内」にしなければならない。短期入院の取り扱いと特定除外制度が見直されると、これらの該当患者が多い病院ではこの基準のクリアが厳しくなる可能性がある。
厚労省の試算では、特定除外制度の廃止後も7対1入院基本料を算定し続ける場合、50床の病棟に長期入院の患者が5人いたら、残り45人の平均在院日数を15日以内に抑える必要がある。
■16年度以降、7対1は「DPC制度に参加」も検討
一方、現在の「重症度・看護必要度」は、名称を「重症度、医療・看護必要度」(仮称)に変更。入院患者の状態の評価に使う一般病棟用の評価票のうち、モニタリングや処置などの状況を評価するA得点の項目(現在は9通り)を見直す。寝返りを打てるかどうかなど、患者の状況を評価するB得点の項目(7通り)は見直さない。
A得点の項目の主な見直しは次の通り。
〈「一般病棟用の重症度・看護必要度の評価票」に関する主な見直し〉
・ 「時間尿測定」と「血圧測定」を削除
・ 「呼吸ケア」の測定対象から「喀たん吸引」を除外
・ 現在の「創傷処置」の項目を、「褥瘡への処置」と「それ以外の処置」の項目
に分ける
・ 「抗悪性腫瘍剤」「麻薬の内服・貼付」などを反映
7対1の算定要件のうち重症者割合の基準は、現在は重症度・看護必要度の「A得点が2点以上でB得点が3点以上」の患者が、全体の「15%以上」であること。厚労省の試算によると、この基準をクリアする7対1算定病院の割合は、現在の82.4%から、A得点の項目の見直し後は56.5%に減る。
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