政府の新型インフルエンザ対策行動計画を受け、各地の自治体で患者発生時の対応マニュアルの作成や、医療機関に対する特定接種の周知が進みつつある。すでに対応マニュアルなどを作成した自治体がある一方、対策行動計画の正式な策定までこぎつけていない自治体もあり、“トップ集団”と“後続”の自治体との間で格差が広がっている。医療機関から都道府県への特定接種登録の申請期限は来年3月まで。対策行動計画の中で、医療機関はどのような役割をこなし、準備に何が必要となるのか―。静岡県などの先行自治体の事例を基に、対策マニュアルや、特定接種の登録申請に必要な事業継続計画(BCP)などの課題を探った。【新井哉】
「特定接種の登録対象者に関する基準では、病院や診療所などが優先されている」。今月18日に開催された静岡県の新型インフルエンザ等医療専門家会議で、同県の担当者は居並ぶ委員を前に、医師や看護師らに優先的にワクチンを接種する特定接種の登録スケジュールなどを説明した。
県は今回の専門家会議で特定接種を検討議題に挙げて委員の判断を仰いだ。今年6月に策定された政府の新型インフルエンザ対策行動計画で示された特定接種の申請期限が目前に迫っているからだ。
特定接種に関しては、今後、100万を超える事業所の登録が見込まれるため、政府は医療提供体制に不可欠な病院や診療所の登録を優先。現在、ウェブ経由で登録可能なシステムを構築中で、医療分野以外の公務員などの対象業種については、来年度以降、このシステムを使って登録を行う方針を示している。
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