【大磯義一郎(浜松医科大学医学部教授、帝京大学医療情報システム研究センター客員教授、弁護士、医師)】
今回は、気管支内視鏡操作後に脳梗塞が発症した症例に対する損害賠償請求が認められなかった事例を取り上げ、最近の裁判所が、結果のみをもって過失を認定することはせず、結果を引き起こした医療行為が、医療水準に適したものであったかどうかをきちんと検討していることを解説します。
03年・平成15年2月下旬ごろ、患者Xは健診で左上肺野に異常陰影を指摘され、Y病院を紹介された。 XはY病院を受診、肺がんを疑われ、気管支内視鏡検査を行うことになった。 6月13日、気管支内視鏡検査が行われ、担当医Aは、左B1+2bから生検鉗子、鋭匙鉗子で腫瘤影に接近を試みたが、病変に到達することはできず、同入口部で洗浄細胞診検査を行って検査を終了した。
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