ヤンセンファーマは1月17日から、統合失調症治療薬「インヴェガ錠」の販売を開始した。抗ドパミン作用により統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)に効果を示すとともに、抗セロトニン作用により陰性症状(感情的引きこもりや情動鈍麻など)にも効果があるという。また、有効成分(パリペリドン)を持続的に放出する徐放性経口製剤であるため、1日1回の服用で24時間にわたって血中薬物濃度の日内変動幅を抑える特長がある。
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国内外の臨床試験では、統合失調症に対する初発時や急性期における早期治療に加え、再発までの期間延長など、維持期の治療にも有用であることが確認された。
同社は既に統合失調症治療薬として、内服薬のリスパダール(錠剤、細粒剤、内用液、口腔内崩壊錠)を販売しているが、リスパダールは1日2回服用で、効果が現れる用量まで数週間かけて増量する必要があったのに対し、インヴェガは1日1回服用で、投与開始時から効果が現れる用量での治療が可能。このほかにも同社は、2週に1回投与の注射剤のリスパダールコンスタ筋注用を販売しており、インヴェガがこうしたラインナップに加わることで、薬剤選択の幅が広がるとしている。
安全性の面で、国内で行われた臨床試験では、評価対象例312例中269例(86.2%)に副作用が認められた。その主なものは、▽血中プロラクチン増加107例(34.3%)▽統合失調症の悪化68例(21.8%)▽体重増加46例(14.7%)▽錐体外路障害44例(14.1%)▽便秘30例(9.6%)-だった。
インヴェガは昨年1月までに欧米など92の国と地域で承認されており、中央社会保険医療協議会の資料によると、同社では国内でのピーク時(10年後)の売上高を304億円と予測している。
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