全国自治体病院協議会の望月泉会長は12日の記者会見で、224の会員病院の2024年度上半期(4-9月)の医業収支が569億円のマイナスとなり、前年度の同期と比べ175億円赤字幅が拡大したとする調査結果を報告した。【渕本稔】
本業の医業収益は9,730億円で前年度の同期を1.8%上回ったものの、医業費用は1兆299億円(前年度同期比3.5%増)となり、収益の伸びを費用の伸びが上回った。医業収支比率は94.5%で、前年度同期より1.5ポイント悪化。望月会長は、「物価高騰などによる医業費用の伸びが、収益をはるかに上回った」と経営環境の厳しさを訴えた。
調査は、診療報酬改定後の会員病院の経営状況を把握するため、10月28日-12月4日に行った。対象となる846病院のうち、297病院が回答した(回答率35.1%)。
24年度通期の決算見込みについては112病院が回答。医業収支は1,690億円の損益となり、前年度比で赤字幅が546億円拡大する見通し。
医業収支比率は85.5%で、前年度比4.2ポイント悪化する見込み。
24年度の人事院勧告(月給プラス2.76%)を踏まえた給与の改定は77%が実施する見込み。一方、「一部実施する見込み」(3%)、「実施しない見込み」(4%)という病院や、「未定」という回答も16%あり、賃上げの原資が不足している状況もうかがえた。
経営改善策として、▽患者単価の向上▽人員採用の強化▽外部委託費用の見直し▽病床稼働率の向上▽平均在院日数の適正化▽訪問診療の強化-などが挙げられ、各病院で収支改善に向けた経営努力が行われていることが報告された。
また会員病院からは、物価高騰対策の継続と拡充、さらなる財政措置を求める声が目立った。
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