優れた生産性を誇る病院のトップランナー、大垣市民病院(岐阜県大垣市、903床)。金岡祐次院長はコロナ禍においても、受け入れる病床をコントロールしながら制限しない医療を実行している。急性期病院のあるべき姿について、金岡院長と同院の経営アドバイザーを務める井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院・副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長)が対談した。【編集、齋藤栄子】
対談は3月19日、オンラインで実施
井上(以下、敬称略):外科医から外科部長、院長へと歩まれた。
金岡:1993年に大垣市民病院へ赴任した当時は臨床一筋で、肝胆膵の分野で大学レベルの手術を行うことが目標だった。2008年に50歳で外科部長になってからは、腹腔鏡手術を極めようと段階的にレベルアップして、今は腹腔鏡下膵頭十二指腸切除(ラパPD)を行っている。16年の保険収載からだと、当院は国内第3位の症例数を誇る。
15年に外科部長から院長となり、病院経営の経験が全くないゼロの状態でスタートを切った。せっかく与えられた機会なので頑張ろうと意気込んでいたが、初年度にDPCII群(現在のDPC特定病院群)からIII群(同DPC標準病院群)になるという経験をした。当時は、救急医療管理加算がどれくらい取れているか、その加算が何者かさえ全く認識していない状態だった。在院日数が12日超で長めであることも認識していたが、それを凌駕する診療密度があると思っていたため、13日まで伸びてしまったことが要因だ。これを機に勉強して、DPC係数の増大を目標に、加算を含めた入院期間、症例ごとのパスの見直しなどを、診療科横断的に行ってきた。
金岡祐次・大垣市民病院院長
井上:報酬を意識せずして黒字経営だったのはすごい。
金岡:今は、救急医療管理加算は8割以上取れている。全国平均が5割だから頑張れている方だろう。井上先生を経営アドバイザーに迎えた17年から、急性期病院としての覚悟を持って効率性を重視した病院経営を行っている。
井上:医師1人当たりの受け持ち患者数など、他院よりも圧倒的に生産性が高い。強さの秘訣は?
井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院・副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長)
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