骨太方針2020への記載を受け、直後に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、事業者団体の代表委員が報酬上のインセンティブ設定により普及の後押しを求めるなど、改めて期待が高まっているAIケアプラン。介護・福祉業界向けにサービス提供を行うITベンチャーのウェルモ(東京都千代田区)は、ケアプランの作成を支援するAIエンジン「ケアプランアシスタント」の発売をこの秋に控える。開発を目指した経緯や、サービスの特徴について、同社の創業者である鹿野佑介代表取締役に話を聞いた。【聞き手・吉木ちひろ】
■介護現場における人材教育の課題からAIの開発を着想
―ご自身の介護業界との関わり、問題意識について聞かせてください。
「人事系のITコンサルタント出身で、大手企業の人事部の支援などを行ってきました。もともと、母がカウンセラーの仕事をしていた影響もあって、働く人の元気のなさを肌で感じていたのですが、自分自身が社会に出てもその印象は大きく変わることはありませんでした。それは、多くの人が、やりたいことや信念といった内発的動機付けに基づいて仕事を選ぶのではなく、安定性や社会的地位など外発的動機性で仕事を選ぶことが関係しているのではないかと感じていました」
「こうした問題意識を持っていた頃、仙台、東京、大阪、福岡と全国各地の介護現場でのボランティア活動を始めました。ボランティアをしていたおよそ1年の間に400を超える法人を訪問し、数十施設でお手伝いをしました。
介護現場では、給与があまり高くなかったり、職場があまり有名な企業ではなかったりしても、自分の信念を貫いて仕事に取り組む人をたびたび目にすることがありました。仕事に生きがいを感じ、目的意識を持って働いている人たちが、一部上場企業でなんとなく働いている人よりも、『圧倒的にかっこいい』と感じたのです」
「自らのライフワークとして、このような『人として、ちゃんと仕事をしている人を、世の中にもっと増やしたい』と考えた時に、人事部がないだとか、人的なケアが不十分であるという多くの介護事業者が抱える課題に気が付きました。このままでは、高齢化がますます進む社会を支えられないという危機感から、2013年に会社を設立しました」
―ケアプランアシスタントの発売が秋に控えていますね。どのような特徴があるAIなのでしょうか。
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