シルバーサービス振興会はこのほど、「介護職種における技能実習指導員から技能実習生への適切な技能移転のあり方に関する調査研究事業」の報告書をまとめた。事業は、技能実習生を受け入れる事業所・施設の実態を把握し、標準的な指導方法についてのガイドライン策定を目的に行われた。実習生に移転する技能そのものは国が示しているが、指導する上で押さえてほしい内容や取り組みの事例など、指導員が参考になるガイドライン作成を目指した。【齋藤栄子】
2017年11月の技能実習法施行に伴い、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加された。技能実習生は、職種ごとに定められた「技能実習計画審査基準」で必ず修得しなければならない業務がある。介護職種では「車いすでの移動の介助」などの身体介護業務や、事故防止・感染症予防等の安全衛生業務などがある。また、指導員は実習生5名につき1名以上を選任し、そのうち1名以上は介護福祉士等にするなど、「介護」固有の要件を定めている。
ガイドライン作成に当たっては、実態把握のために、「介護技能実習評価試験の受検申請を行ったことがある実習実施者に在籍する技能実習責任者及び技能実習指導員」(実習実施者・696事業所)を対象に、アンケート調査を行った。
その結果、▽実習生の日本語能力レベルに課題があり、指導員が日本語学習について理解が必要▽実習生の初級試験合格に向けた取り組みが必要▽職員に比べて利用者・家族・地域住民への説明の実施率が低いが、実施により受け入れがスムーズになる場合がある▽使用する用語の統一が必要-などの課題が挙がった。
また、実習生の指導に当たり参考にしている教材についての設問では、「特に決まった教材は活用していない」との回答が4割以上あった。
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