【横浜市立大附属病院集中治療部 部長 准教授 高木俊介】
ダイヤモンド・プリンセス号の船内感染者から始まったCOVID-19 (以下、コロナウイルス)への対応により、横浜市立大附属病院は、今まで経験したことのない大きな変革を起こした。当院では救急科が中心となって、コロナウイルス感染症の重症患者の受け入れを行った。症状は、発熱のみの軽症患者、酸素投与が必要な中等症患者、人工呼吸が必要な重症患者までさまざまであり、受け入れ当初の現場の混乱は想像を超えるものだった。
患者ケアにおける感染予防策に加えて、感染患者のいる場所、感染防護服を着脱する場所、通常業務をする場所を、それぞれレッドゾーン、イエローゾーン、グリーンゾーンと分類して、徹底した感染予防策を行った。幸い、当院での院内感染はいまだに発生していない。
コロナウイルス感染が国内で徐々に拡大するにつれて、当院でも重症患者の受け入れベッドを増やす必要が出てきたため、従来は心血管系の集中治療室として使用していた部屋をコロナウイルス患者の重症系病床へと変更した。その頃には、よりゾーニングの意識が高まり、新たにゾーニングのために壁を構築して、汚染範囲を物理的に分けることとした。私はこの壁を「コロナウォール」と呼んでいるので、以下そのように称する。
※筆者撮影
写真は、今まで何もなかったフロアに設置されたコロナウォールでの、感染防護服を着用したスタッフとグリーンゾーンで通常の作業着でいるスタッフ間の会話の様子だ。壁越しに会話を行い、指示伝達するというスタイルで診療を行うため、コロナウォールを隔てたコミュニケーションツールの必要性を強く感じた。有事の際での突貫工事であったため、そのような課題が出てくるとは当初、想定できていなかった。
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後編配信は6月3日5:00を予定しています
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