今回は、オンライン服薬指導について考えます。
　そもそも処方箋に基づく調剤時の服薬指導は、対面しか認められておらず、遠隔での服薬指導は、現時点では国家戦略特区（特区）内でのみ可能です。
　12月4日に公布された改正医薬品医療機器等法（薬機法）が1年以内に施行されると、特区に限らずオンライン服薬指導が実施できます。これに伴い、2020年度の調剤報酬改定では、報酬についても具体的に決定します。【大戸豊】

オンライン服薬指導、20年度改定で評価へ
都市部の遠隔服薬指導、薬剤服用歴管理指導料が算定可能

■特区でのオンライン服薬指導の状況
　中央社会保険医療協議会（中医協）での議論を見る前に、現在オンライン服薬指導を行っている特区のケースから、イメージをつかんでみましょう。

　千葉市では特区の認定を受け、昨年12月26日には、市内の薬局がオンライン服薬指導を始めました。都市部での遠隔服薬指導を行う初のケースとなります。
　千葉市内にある木村病院でオンライン診療を行い、同院はその患者の「特定処方箋」を日本調剤の椿森薬局に直接渡します。椿森薬局では、調剤を行った上で、薬剤師が患者に対してオンラインで服薬指導をしました。その後、患者宅に処方薬が届くという流れです。
　「特定処方箋」とは、対面以外の方法（つまりオンライン）で交付された処方箋です。対面で交付された普通の処方箋では、オンライン服薬指導はできません。
　今回、医療機関のオンライン診療と薬局のオンライン服薬指導を“セット”で行うルールとなっています。「対面で受診し、服薬指導はオンラインで」という形は認められていません。

千葉市　特区活用によるオンライン服薬指導のイメージ

千葉市「都市部におけるオンライン服薬指導の実施」より

（残り1948字 / 全2684字）