【横浜市立大附属病院集中治療部 部長 准教授 高木俊介】
前編では、横浜市立大が取り組むTele-ICUの構築に向けた、具体的な課題や今後の展望についてまとめた。後編では、厚生労働省がTele-ICUに期待すること、日本集中治療医学会理事会で先日承認されたばかりのプロジェクトについて述べたい。
横浜市立大、Tele-ICUによる各所への多様な効果も追求―Tele-ICU構築に向けた課題とデータ利活用への期待(前編)
■ Tele-ICUをデータ利活用の起点に
2018年、遠隔ICU調査研究のキックオフミーティングをした際に、厚労省の方をお呼びして講演をしてもらったが、その内容は、医師の残業や当直に関する働き方改革と次世代医療基盤法に関する話であった。現在、働き方改革の施策としてTele-ICUが期待されていると同時に、データの二次利用が鍵であると感じた。ICUのようにデータリッチな部署において、現状ではその多くのデータが廃棄されている。しかし、複数病院のデータを標準化して収集するTele-ICU事業は、まさにデータ利活用の起点になるはずである。
また、40-50人もの複数患者を同時に管理する必要があるTele-ICUにおいては、データを活用したトリアージの仕組みが必須である。そうした課題を解決するために、「集中治療領域における生体情報や診療情報を活用した人工知能(AI)の実装を推進するための基盤整備に係る社会的・技術的課題等についての実証的研究」という課題名で、遠隔ICU委員会の委員が中心となって、厚労省科学研究費を取得した。
■AI活用に向けてコンソーシアム設立
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