2014年の創設から転換が進み、8万床に届いた地域包括ケア病棟-。地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は、これからの高齢化や人口減の進展で、地域医療の提供体制が大きく変化する中、重要な“ショックアブソーバー”になると話す。
対談では、井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長)が、地域包括ケア病棟の課題に鋭く切り込むと、すぐにでも改善すべき課題が浮かび上がってきた。
仲井氏は、在宅復帰支援を頑張っている多くの病院は、コスト高になり、病棟稼働率も結果として下がるジレンマがあると指摘。現行制度を改め、「充実した在宅復帰制度」がより評価される仕組みを求めている。【司会・構成、大戸豊】
仲井培雄氏(左)と井上貴裕氏
井上 この5年で地域包括ケア病棟は増え続けている。
仲井 算定病院は2400病院を超え、病床も既に8万床を超えた(地域包括ケア病棟協会19年4月調べ)。
病院機能別に見ると、「急性期ケアミックス型」が5割強、「ポストアキュート連携型」が1.5割弱、「地域密着型」が3.5割弱を占める(地域包括ケア病棟協会18年6月調べ)。また、全病室・病棟が地域包括ケア病棟の「地域包括ケア病院」も18年8月の時点で42あった。
地域包括ケア病棟協会資料より
井上 民間と公立の割合は。
仲井 7割が民間で、3割が公立・公的だ。公立・公的病院は、民間より急性期ケアミックス型が多い。
国は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」に力を入れ始めたが、計画を立てるのは公立・公的病院だけで、民間病院は対象外だ。地域医療構想にどのような影響を及ぼすのか不安視する声もある。
■地域包括ケア病棟は変化のショックを和らげる
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