【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
厚生労働省は4月25日の第1回入院医療等の調査・評価分科会で、DPC/PDPSにおける論点として、平均在院日数にばらつきがあり、許可病床に占めるDPC算定病床の現状もさまざまなことを指摘した。大幅に増加している地域包括ケア病棟を有していれば、院内転棟させることで効率性指数を高められる可能性があるため、そのような運用にメスを入れたいのだろうか。
地域医療構想では回復期機能は不足する見通しのため、国として増やしたい思惑もある一方で、DPC対象病院には適正使用を促したいのではないか。これは2020年度診療報酬改定の大きな論点であるDPC/PDPSの退出ルールとも関係することから、さらに実態に迫る必要がある。
今回は、DPC対象病床割合が低い病院の特性を明らかにし、それらの扱いについて考えたい。さらに、機能分化を進める単位として適当なのは、病棟か、それとも病院かについても私見を交えて論じたい。
■ケアミックスの中小病院をどうとらえるか
グラフ1は、DPC算定病床割合とDPC算定病床数を見たものだ。DPC算定病床割合が低く、ケアミックス化しているのは中小規模病院が中心である。中小規模病院が地域の医療需要に合わせて弾力的な病棟構成を採用しているといえる。
DPC算定病床割合と効率性には関係があるだろうか。グラフ2は、DPC算定病床割合と在院日数の指標で、有意な相関は見られない。全体として見れば、地域包括ケア病棟などを有していることと、在院日数には関係がないようだ。
グラフ1 DPC算定病床割合とDPC算定病床数 クリックで拡大
DPC評価分科会資料を基に作成。DPC算定病床割合は、精神病床および結核病床を除いて計算している(以下グラフ5まで同様)
グラフ2 DPC算定病床割合と在院日数の指標 クリックで拡大
グラフ3は、DPC算定病床が1病棟の最大値である60床以下で、かつ地域包括ケア病棟を届け出ている病院のDPC算定病床割合と効率性係数を見たものだ。
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次回配信は6月24日5:00を予定しています
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