救急医療を提供する一部の病院で、病状などの説明業務を平日時間内に行ったり、当直翌日に年休を取得させたりする動きが出てきた。医師の働き方改革を進めるには、患者やその家族の協力が欠かせないため、こうした病院では取り組みの周知に懸命だ。救急医の時間外労働(残業)の削減と地域の医療提供体制の維持は、両立するのか。【新井哉】
■月80時間の時間外勤務、三次救急の16%が「ほぼ不可能」
今後5年間で救急部門の医師の時間外勤務を月80時間(年換算960時間)以内にすることは、ほぼ不可能―。日本医師会(日医)が10日の定例記者会見で明らかにした医師の働き方改革と救急医療に関する緊急調査の結果(概要)で、三次救急医療機関(「わからない」と回答した医療機関を除く)の約16%、救急車を年間1000台以上受け入れている二次救急医療機関(同)の約9%が、こう考えていることが明らかになった。
日本救急医学会も「医師の働き方に関する追加提言」を1月に公表したが、追加提言に至るまでに理事会で、「過剰な上限時間設定はかえって救急医になろうとする医師たちの忌避を招くことが危惧される」「一般則が適用されれば現状の救急医療ニーズに対応することは困難となることが予想される」「診療科ごとで時間外労働規制案を選択できるルールを作れないか」といった議論が行われたという。
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