これまで改正医療法・医師法のポイントを整理してきたが、地域医療構想や医師の配置などに関わる立場からは、改正法はどのように映るのか。山形大大学院医学系研究科医療政策学講座の村上正泰教授に聞いた。【大戸豊】
■医師のキャリアパスとも密接に関連
改正医療法・医師法では、都道府県は「医師確保計画」の策定と併せ、「都道府県と大学、医師会等が必ず連携すること等を目的とした『地域医療対策協議会』の機能強化」が求められている。都道府県の権限を強めただけでは、現場での実効性は確保できないことから、厚生労働省も念を押したといえるが、大学、医師会などとうまく機能できている都道府県は、どれだけあるだろうか。
山形大では、2002年に「蔵王協議会」(会長=嘉山孝正・山形大医学部参与)を設け、県、医師会、関連病院との間で医療提供体制を話し合ってきた。
特に、卒前教育から専門医研修の整備、関連医療施設との連携、医師の適正配置などをテーマにしており、地域医療構想と医師適正配置の両方を整合的に進めようとしている。 協議会で県内の診療データの分析や医療提供体制改革の対応策の検討に携わっている村上氏は、「発足から17年が経ち、意見を聞き、調整していくという枠組みとしていい。形式的な連携ではなく、全体を考えた実質的な取り組みをする上では、比較的進めやすいのでは」と話す。
蔵王協議会運営組織
村上氏資料より(以下同様)
村上氏は「医師の多い地域から少ない地域へ移す」という政策の方向性は、大筋では理解できるとしつつも、「東京都以外の医師多数三次医療圏は西日本に偏っているが、それらの医師を東北などに移すことができるのか」と疑問を呈する。また、医師多数区域では、他の地域から医師の確保は行わないとされたが、厳密に運用し過ぎれば、医師のキャリアパスに大きな影響を及ぼすとみている。
(残り1950字 / 全2721字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】