医師の働き方改革の中でも、集中治療室(ICU)に従事する外科系医師の働き方改革は特に難しいことから、集中治療専門医による術後管理への期待が高まっている。しかし、ICUで患者回復までの術後管理や重症患者の管理を行う集中治療専門医を増やすことは決して簡単ではない。このため、横浜市立大附属病院はICUを遠隔でモニタリングする日本独自の「遠隔集中治療(Tele-ICU)システム」の構築について、調査研究を進めている。【齋藤栄子】
横浜市立大附属病院のTele-ICUシステム構築への取り組みは、2016年に集中治療部の高木俊介部長が、米国でTele-ICUのサポートセンターを見学したことに始まる。
米国のTele-ICUは、複数病院の患者情報を1カ所に集約して、空港の管制塔のようにモニターで監視し、ネットワークを介した複数のICUに対して集中治療専門医が診療サポートを行う仕組みである。センターでは複数病院の患者約100人を看護師3人と医師1人が常駐して監視する。看護師が複数患者の中から、重症度判定のスコアリングなどを参考にしてトリアージを行い、個々の患者情報を詳しく参照していく。介入が必要と看護師により判断されれば、現場のスタッフとカメラを通じて、「face to face」でコミュニケーションする。
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