社会保障審議会介護保険部会は、2021年度から23年度までの3年間を対象とする「第8期介護保険事業計画」の作成に向けた議論を2月25日にスタートした。次期制度改正では、「現役世代人口の急減」を新たな重要課題に据えた。労働力の制約が強まる中で医療・介護サービスを確保するために、複数の横断的なテーマから議論を進め、その後に個別のサービスなどについて話し合う方針だ。【齋藤栄子】
厚生労働省は、19年末までに介護保険制度全体について介護保険部会で議論を進め、改正が必要な事項については20年の通常国会に介護保険法などの改正案を提出し、20年度に「市町村介護保険事業計画」「都道府県介護保険事業支援計画」の作成をそれぞれに求めて、21年度予算案へつなげていくスケジュールを示した。
前回の第7期制度改正では、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、制度の持続可能性を確保することに配慮し、サービスを必要とする人に必要なサービスが提供されるよう、▽地域包括ケアシステムの深化・推進▽介護保険制度の持続可能性の確保-に取り組んだ。
■「現役世代人口の急減」は新たな重要課題
次期制度改正ではこれらの課題に加えて、25年以降の「現役世代人口の急減」という新たな重要課題があることを厚労省は強調した。労働力の制約が強まる中で、医療・介護サービスの量の確保が喫緊の課題であると同時に、介護予防・健康づくりの推進により要介護者を増やさないことは重要課題となる。
このため厚労省は委員に対し、施設類型・サービス類型といった詳細な議論より以前に、「それぞれ複数に関わる横断的なテーマについて先に議論をいただき、それから個別の詳細な議論に入っていただきたい」と求めた。
横断的な議論のテーマとして、厚労省が示した項目は、▽介護予防・健康づくりの推進▽保険者機能の強化▽地域包括ケアシステムの推進▽認知症「共生」・「予防」の推進▽持続可能な制度の再構築・介護現場の革新―の5つ。
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