【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■増え続ける心不全の入院患者
DPC病院における代表的な疾患である心不全は、DPC算定病院の全入院患者の2%弱を占めている。さらに75歳以上の入院患者では4%、救急車搬送入院患者と救急医療入院ではそれぞれ4.5%、5.5%と高い割合となっている=表=。
表 DPC算定病院の入院件数に占める心不全の割合
厚生労働省 DPC公開データ(2016年度実績)を基に作成
前回の記事冒頭でDPC算定病院の入院患者数が増えていると述べたが、心不全の入院患者数も大きく増えている=グラフ1=。一方で平均在院日数は年々短縮している。このことから、近年、心不全に限らずDPC病院全体で高回転化が進んでいるが、心不全単体で見ても高回転化の波が押し寄せていると言えるだろう。
グラフ1 DPC算定病院における心不全の入院患者数・平均在院日数の推移
厚生労働省 DPC公開データ(2012-16年度実績)を基に作成
■心不全は高回転化の難しい疾患
しかしながら、心不全は高回転化の難しい疾患である。まず、他の疾患に比べ、自宅に帰ることが難しい。DPC算定病院では入院患者の9割近くが自宅に帰るのに対し、心不全の患者は7割強と少ない=グラフ2=。その分、転院や介護施設などへの入所による退院、死亡退院の割合が多くなる。自宅退院の患者に比べ、転院や介護施設への退院の患者は、退院調整が難しく、在院日数が長くなりがちである。退院調整は周辺の医療提供体制に左右されるため、自院の努力のみで高回転化を進めることは難しい。
グラフ2 全疾患と心不全の退院先割合の比較
厚生労働省 DPC公開データ(2016年度実績)を基に作成
(残り2222字 / 全2968字)
次回配信は1月23日5:00の予定です
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】