日医総研は医薬品産業の2017年決算を分析したワーキングペーパーをまとめた。薬価、調剤報酬の議論に、公的医療保険財源が製薬企業、医薬品卸、調剤薬局によってどう使われたのかの詳細や、国内医療用医薬品事業に関する各企業のデータを提示した上で議論されることに期待するとコメントした。特に、製薬企業の事業に関する情報開示の不十分さや、調剤薬局の配当と内部留保への問題意識がある。中央社会保険医療協議会の議論で日本医師会の委員が今後、こうした主張を展開していくものとみられる。【ライター 設楽幸雄】
日医総研のワーキングペーパーでは製薬企業・医薬品卸・調剤薬局の2017年度決算の状況をそれぞれ詳細に分析した。
製薬企業については、外国の大手に比べて売上高と研究開発費に大きな差があることに触れながら、現実には、「公的医療保険(薬価)財源には限界がある」と指摘した。その上で、「承認審査制度、研究開発税制、補助金等によっても製薬企業のイノベーションを後押しする必要がある」と、薬価制度以外でイノベーションを促進する必要性があると訴えている。日医の横倉義武会長や中医協の日医委員も以前からこうした考えを示している。
一方、決算データ分析としては、国内医療用医薬品事業の状況に関するデータ収集を行った結果、外国企業のすべてと国内企業の一部に医療用医薬品以外の売上を含むデータしかなかったことを指摘している。現状では、国内の医療用医薬品の売上高を正確に把握することができないということだ。
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