厚生労働省は22日、中央社会保険医療協議会の総会に、年4回実施している新薬の薬価収載と合わせて抗がん剤オプジーボの薬価を37.5%引き下げる再算定を行うことを報告、了承された。オプジーボはこれまでに、緊急引き下げ50%、「用法用量再算定+費用対効果評価再算定」23.8%下げを受けている。今回は3回目の再算定で、用法用量の変更が承認され、1回当たり投与量の価値が37.5%減ることに合わせたもの。【ライター 設楽幸雄】
オプジーボは、小野薬品が開発したPD‐1免疫チェックポイント阻害薬で、2014年9月に悪性黒色腫のみを適応として保険適用された。従来にない高い効果が臨床試験で示され、また希少疾病用医薬品で市場規模が小さいことから、100mg1瓶が72万9849円という高い薬価が付いた。その時点でのピーク時売上予想は2年度で31億円の推計。
その後、15年12月に非小細胞肺がんの効能追加が承認された。非小細胞肺がんの患者数は多く、オプジーボの売り上げは急拡大し、小野薬品は16年度の売上予想を1260億円(仕切価ベース)と推計した。
当時は、C型肝炎新薬ハーボニーも高額で保険適用された後、特例の市場拡大再算定を受けるなど高額新薬への対応が課題となっており、その中で、オプジーボのこうした効能追加による売上急増が起こり、社会問題となった。
安倍首相が議長を務める経済財政諮問会議でも大きな課題と位置付けられ、それへの対応として薬価制度抜本改革が16年末に決定された。
オプジーボは通常の2年に1回、4月に行う薬価改定とは別に17年2月に緊急で、50%の薬価引き下げを行うことが決まった。小野薬品の予想売上1260億円に対し、厚労省は流通経費、消費税、乖離率、今後の効能追加を考慮して1500億円以上(薬価ベース)になると推計、ハーボニー対策で導入した特例拡大再算定による最大下げ幅50%に該当するとした。
これが最初の再算定だ。ただし、本来の再算定が18年度薬価改定時に行われるべきものとし、緊急の50%引き下げ分も18年改定の中で清算することとされた。
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