【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
診療報酬と介護報酬では、前者が2年に一度の改定なのに対し、後者は3年に一度となっている。そのため、改定サイクルが短い診療報酬の方が、社会保障に対する国の考え方がより早く反映される。介護報酬はその風下になる形で、常に診療報酬改定の影響を受けている。そして両報酬は6年に1度同時改定となる。この4月はまさにそのタイミングだった。そこでは診療・介護両報酬のインセンティブ(報酬)のすり合わせが行われる。
2018年度の同時改定では、地域包括ケアシステムの深化が目的とされ、入院しても短期間で退院し、地域で暮らし続けるために、医療機関と居宅介護支援事業所の入退院連携が強化された。
■なぜ介護支援専門員が病院から情報を得るのが難しいのか
介護報酬の入院時情報連携加算は、従前の入院後7日以内の情報提供に加えて、入院後3日以内に利用者の情報を医療機関に提供した場合、より高い報酬が算定でき、情報提供の方法(訪問または訪問以外)も問わないとされた。これは、入院する際に、居宅で生活する利用者の情報をできるだけ早く医療機関に伝え、より適切な治療とより早期の退院につなげるためだ。
退院時には、より適切な居宅サービスが提供され、利用者が住み慣れた地域で暮らし続けられるように、退院・退所時における居宅介護支援事業所のケアプランの初回作成の手間を明確に評価し、介護支援専門員が医療機関からより適切な情報提供と指導を受けるために、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、医療機関におけるカンファレンスに参加した場合を上乗せで評価している。
しかしこの退院時連携では、介護支援専門員が病院からタイムリーに情報を得ることが難しいと以前から指摘されていた。居宅介護支援事業所の介護支援専門員からは「急に退院の連絡がくる」という声があった。また多職種カンファレンスでは、医療機関が日程を決める場合、医師の都合が優先されるために、介護支援専門員などとの調整が困難なことも指摘されていた。
前者は、患者の退院が予定されていても、退院前に医療機関から居宅介護支援事業所に情報を提供した場合、診療報酬を算定できないことがネックになっていた。
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次回配信は7月26日5:00の予定です
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