【特定医療法人駿甲会 コミュニティーホスピタル甲賀病院 副院長 甲賀啓介】
■はじめに
CBnewsマネジメントより、コラム執筆の機会をいただきました。これまで執筆された諸先輩方に比べ、私自身の病院経営の経験は浅く、また示唆に富む内容を語る見識もございません。しかしながら、2018年は私が自院に赴任してちょうど10年目の節目であり、これまで悪戦苦闘した中で得た教訓についてお話しさせていただきたいと思います。
■地域および病院の特性
静岡県の人口は約367万人で、都道府県別で10位と比較的多いのですが、医療資源を偏差値※で表した場合、全県での人口当たりの総病床数は46、総医師数が45、総看護師数が45と、すべての項目が全国平均を下回る医療過疎地です。
焼津市にある当院が属する「志太榛原医療圏」は、総人口約47万人の地方都市型二次医療圏ですが、総医師数の地域偏差値は39、人口当たりの一般病床数の偏差値は41と、県内でも際立って医療資源が乏しい地域です。
地域の基幹病院が複数ありますが、急性期(特に循環器領域)や急性期以後の医療提供能力は長年にわたって低い状態で推移しており、隣の静岡地区への患者の流出も多いといった現状があります。
※日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状ー都道府県別・二次医療圏別データ集(2017 年度版)」より
そのような地域に、1989年に私の両親が病院(当時は一般病床127床)を開設しました。地域のためにという理念そのままに、「コミュニティーホスピタル甲賀病院」と命名し、その後は急性期病床のほか、予防医療、回復期リハ病床、療養病棟などを整備し、急性期以後の機能・役割も充実させるなど、比較的急速に拡大してきました。現在では407床の病院を中核に、多くの関連施設を運営しています。
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次回配信は2月15日12:00の予定です
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