【士別市立病院 院長 長島仁】
■繰入金12億では士別市自体が持たない
北海道士別市は、札幌の北東約190キロの場所にあり、農業と畜産が盛んで「羊のまち」としても知られています。
士別市立病院は1954年に開設され、87年に現在地に移転しました。93年まで307床を運営し、主に上川北部1市3町(当時の人口は約4万人)を医療圏とし、ピーク時の2002年には常勤医師が28人おり、急性期診療を中心に年間で外来25万6290(1042/日)人、入院9万1899(252/日)人を診ていました。
しかし、産業の少ない北海道の小規模都市は過疎化、少子・高齢化の影響をもろに受け、04年度に始まった新医師臨床研修制度をきっかけに常勤医師が激減(現在12人)しました。16年は外来約11.6万人、入院約4万人と最盛期の半分以下となりました=グラフ1=。
グラフ1 士別市立病院の入院・外来患者の推移
03年からは、急性期の4病棟体制(199床)とし、医師や看護師確保を通じ、経営の立て直しに努めましたが、患者減に歯止めがかからず、「一般会計繰入金」は08年度から10億円を超え、16年度は12億円が予想されました。
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