【久留米大学 特命教授(医療政策担当) 佐藤敏信】
12月21日の朝の閣議で、社会保障費にかかる国庫負担分を含む2018年度政府予算原案は確定した。もちろん、これに先立つ18日の大臣折衝をもって、18年度診療報酬改定の前半戦は終わっていた。医療関係者の多くは「細かな点数設定などは、まさにこれからの話」とお思いかもしれないが、この連載を貫くテーマである「霞が関のパワーゲーム」という観点から言えば、第一幕は終わった。
前半戦を終えての筆者の印象を一言で表すと、「異例ずくめ」ということになる。このことを時系列に沿って整理してみる。
第一に、財政制度等審議会(財政審)と財務省の、18年度改定に向けての姿勢である。第1回でも書いたが、財政審の社会保障関係の資料の量と質であり、そして調剤や薬価に対する指摘だ。恐怖すら感じるほどである。
第二に、厚生労働省保険局医療課の姿勢だ。財政審の指摘は指摘として踏まえながらも、中央社会保険医療協議会(中医協)に提出してきた資料は、財政審に勝るとも劣らない質と量である。しかも単なる適正化という視点ではなく、種々の指摘に対して、科学的に論理的に真実はどうなのかとの真摯な態度が見える。
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