集中講座の第2回では、急性期入院医療の評価見直しのポイントを紹介する。厚生労働省はこれまでに、一般病棟入院基本料の評価体系を改め、入院患者の重症者割合をより重視する方向性を示している。重症者割合に応じて段階的に加算する仕組みが7対1に導入され、施設基準の「25%以上」をぎりぎりでクリアする病棟の報酬水準が下がる可能性もある。【佐藤貴彦】
一般病棟入院基本料の7対1の点数は一日1591点。その施設基準は10対1(一日1332点)より厳しく、入院患者に占める重症者の割合が「25%以上」に届かない病棟では、原則届け出できない。
7対1の点数が高い理由を厚労省は、重症者を積極的に受け入れており、人件費などのコストが掛かるからだと説明してきた。しかし、中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」の実態調査で、重症者割合が「25%以上」と、7対1病棟並みの10対1病棟もあることが明らかになった。
現在、10対1には重症者割合の要件がなく、その割合に応じて3段階で加算が付く。最高でも一日55点で、重症者割合が25%なら入院基本料と合わせて1387点。7対1病棟と比べ204点少ない=図=。
昨年10-12月分のDPCデータを使った同省の分析では、10対1病棟を持つ332病院のうち、同病棟の重症者割合が「25%以上」なのは102病院(30.7%)で、26病院(7.8%)は「30%以上」だった。これに対し、7対1病棟を持つ1229病院のうち、重症者割合が「30%以上」なのは281病院(22.9%)で、多くの7対1病棟では施設基準の「25%以上」をすれすれでクリアしていた=グラフ1=。
重症者割合が7対1病棟並みに高い10対1病棟があることや、重症者割合が「25%以上30%未満」の7対1病棟が多いことから、厚労省は中医協の総会や分科会で、急性期病棟の評価の在り方について、その見直しも視野に検討を進めてきた。
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