このほど「第67回日本病院学会」が神戸市で開催され、「こんな勤務医が欲しい!~地方の病院長のおもい」と題して、医師確保に悪戦苦闘する地方やへき地の病院長が勤務医に期待することなどを語った。医師が少ない中、自身の専門を超えた患者にも対応でき、自ら対処できない場合には同僚に助けを求められるような勤務医を求めている。【大戸豊】
■総合診療医の立ち位置考えていくことが必要
市立函館病院の木村純院長は、医師が不足する中、専門性を確保しつつ、その枠を超えて、幅広く患者を診てほしいと訴えた。
北海道函館市は人口約26万人だが、毎年3000人弱の減少が見られる。同市から札幌までは空路で1時間、鉄道で4時間、車だと5時間かかるなど、アクセスが不便な地域でもある。
市立函館病院は、もともと668床だったが、現在稼働しているのは492床。医師数は124人で、うち初期研修医は28人となっている。同院では初期研修を受けた研修医は、後期研修では採用しない方針といい、木村院長は、「研修医の時は複数の病院を回り、大学を1回は経験すべきという考えがある」と話す。現在の初期研修医のほぼ全員が大学で後期研修を行い、専門医志向が非常に強いという。
同院は北海道が定める「地域センター病院」で、二次医療圏の中核病院としてプライマリケアを支援する立場だが、地域診療支援の日数が近年は減少している。木村院長は、医師が減っていくと、まずは地域での医療支援が難しくなると言う。
医師不足が深刻なのは内科だ。この10年で糖尿病科、リウマチ科、腎臓内科の医師派遣が中止され、再開のめどは立っていない。人工透析は泌尿器科が行い、循環器科のバックアップもあるが、糖尿病性腎症の患者も多く、糖尿病科や腎臓内科の医師不在は厳しいという。また、精神神経科、病理診断科、眼科、リハビリテーション科、乳腺外科、緩和ケア科は常勤が1人で、診療にも影響が出ている。
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