「地域医療構想のギモン」では、地域医療構想の課題を対話形式で考えていきます。
CB医療大学の社会人コースで医療経営を学ぶ病院事務のギギ係長は、講師のカイシャク准教授に、地域医療構想についてよく分からないことがあると、疑問をぶつけました。2回目は医療提供者同士が医療機能再編の方向性を話し合う地域医療構想調整会議(調整会議)について考えました。【大戸豊】
■「全病床高度急性期」に厳しい目
構想区域ごとに調整会議が始まっていますが、病床数や病床機能の見直しは病院経営に直結します。「あなたの病院は、急性期から回復期に移ってほしい」と言われても、そうそう承諾できないと思います。
ある病院経営者が調整会議での話し合いの難航ぶりを「会議は踊る、されど進まず」と皮肉っていた。ただ、それではまずいので、国もまずはデータから、自分の病院の実際の姿を見てほしいと伝えているではないか。
6月2日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で厚生労働省は、昨年度の病床機能報告で全病床を「高度急性期」と報告した特定機能病院があったと明らかにした。病院側には、「まずは高度急性期で手を挙げた方が、後々有利だろう」といった目算もあったと思う。
ただ、特定機能病院の中にも、高度急性期の病床を全体の数パーセントと報告している所もあるので、こういう比較をされると、次回の報告では、「高度急性期100%」とは報告しにくいだろう。市中病院でも、高度急性期と安易に報告するのを控える動きが広がるかもしれない。
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