【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
2018年度診療報酬改定ではDPC対象病院の暫定調整係数が廃止され、機能評価係数IIへの置き換えが完了する。すべての項目で高い評価を獲得するのは無理ともいわれるが、病院としては、適正な評価を受けたいし、過小評価されることだけは避けたい。
千葉大学医学部附属病院では15年4月から機能評価係数IIの向上策を進めてきた。その結果、15年度はI群80病院中48位だったが、16年度は6位、さらに17年度には5位になった。相対評価なので、他の病院が頑張れば自院の評価が下がるのはやむを得ない。しかし、何もしないのでは遅れを取ってしまい、経営側の対応として不十分だ。
今回は千葉大学医学部附属病院の取り組みを紹介し、病院として何を重視すべきか、そして医療政策で国がウエートを置くべき点について考える。
■「平均在院日数ではなく、入院期間II」がポイント
グラフ1は当院の機能評価係数IIのうち7項目の3年間の推移を見たものである。効率性係数、複雑性係数、カバー率係数の上昇が特に目立ち、その一方で重症度係数は17年度に下がっている。これは狙ってきた取り組みが評価されたといえる。
効率性係数、複雑性係数、カバー率係数は、年間12症例以上の診断群分類が評価対象となるため、新入院患者数の増加によって評価が高まるのが一般的だ。当院では特に入院期間II内の退院患者割合の目標値を掲げ、院内に浸透させてきた。15年度は70%以上、16年度は73%以上だったが、ほぼ達成できている=グラフ2=。
グラフ1 千葉大学医学部附属病院機能評価係数IIの内訳
グラフ2 千葉大学医学部附属病院 入院期間別退院患者の割合 クリックで拡大
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次回配信は7月3日5:00の予定です
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