昨年度の診療報酬改定に伴い、「CCPマトリックス」が試行導入された。医療現場からは、「コーディングが難しくなった」といった声も聞こえてくるが、来年春の調整係数の廃止で、その重要性は高まることが予想される。CCPマトリックスの“生みの親”の一人で、厚生労働省研究班の研究代表者を務める東京医科歯科大大学院の伏見清秀教授に、試行導入の意味と調整係数廃止後の未来像を聞いた。【敦賀陽平】
そもそも、CCPマトリックスはなぜ開発されたのか―。これには、14年前のDPC制度スタート時に経過措置として導入された調整係数が関係している。
調整係数は、DPC制度への参加を促すために設けられた、いわば“インセンティブ”で、(1)前年度並みの収入を確保する(2)重症患者への対応や高度医療の提供など、既存の係数だけで評価し切れない病院の機能をカバーする―ことが主な狙いだった。
その後、調整係数は2012年度から段階的に廃止されることが決定。同年度以降の4回の診療報酬改定で、毎回25%分が「基礎係数」(各病院群の基本報酬)と「機能評価係数II」(特定の機能に着目した係数)に置き換わり、18年度に移行が完了する運びとなった。
DPC制度では、約500種類ある傷病ごとに、手術・処置などの「あり」「なし」を選択し、最終的に14ケタのDPCコードが決定する=図=。患者の病態に応じた支払い分類を選ぶ「コーディング」によって、病院は診療報酬を請求できる。
しかし、伏見教授によると、従来の仕組みでは、患者の病態が適切に評価されない場合があるという。調整係数は、医療材料などの使用量が多いほど、その数値が高くなる仕組みのため、包括点数でカバーし切れない費用を補てんしてきた面もあった。
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