4月14日の衆院厚生労働委員会で、野党・民進党の初鹿明博議員から、介護サービス事業に関連し、「事務の量が非常に多く、本来のサービス以外のところに手間がかかっている。残しておかなければいけない書類も多過ぎる」との指摘があった。これに対し塩崎恭久厚労相も「まったく賛成」と述べ、文書量の削減に向けて取り組む姿勢を示した。
記録に時間が割かれて、実際の介護サービスに支障を来す現状は、かねて問題視されてきた。人手不足の深刻化もあり、記録の簡素化は大きな課題の一つだ。それだけに、国が文書量の削減に向けた取り組みに本腰を入れること自体は大賛成だ。
■危惧される的外れな文書削減策
しかし、当日の委員会の議論内容を聞くと、政治家が問題視する事務量の多さと、介護サービス現場が問題視するものの間に乖離があるように思えてならない。正直言って、このままでは、的外れな対策しか打ち出されないのではないかと危惧している。
例えば塩崎厚労相が答弁の中で示した解決策は、次期介護報酬改定までに紙から電子データへの置き換えを進めたり、報告事項の無駄や重複を排除したりすることによって、「文書量を全体として半分にする」というものだった。
実はこれは、われわれ現場が望む解決策ではない。
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