2025年時点の需要にマッチする医療提供体制の姿を示す「地域医療構想」を、全都道府県が策定した。厚生労働省によると、入院医療の需要を賄うために必要な病床数は計119万821床で、15年時点での許可病床数を約14万床(10.5%)下回る。病院経営者は思わず耳をふさぎたくなるかもしれないが、事情は地域ごとに大きく異なり、中には増床しないと需要を賄えそうにない所も。そんな地域差を都道府県単位で紹介する。【佐藤貴彦】
■少子・高齢化で医療需要は様変わり
地域医療構想の必要病床数は、少子・高齢化や人口減少が進む25年時点での入院医療の需要を推計し、常時必要な一般病床と療養病床の数を割り出したもの。少子・高齢化の進み具合は地域ごとに差が激しいため、二次医療圏単位で推計するのが原則だ。病床の医療機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分け、それぞれで算出する。各都道府県の推計結果はグラフ1の通り。
25年には、人口ボリュームが大きい団塊世代が75歳以上になる。これに伴って医療の需要は大きく様変わりし、高度な手術が必要な患者よりも、肺炎や骨折で入院して、在宅復帰に向けてリハビリテーションを受ける患者らが増えると考えられる。つまり、急性期機能などの需要が減る一方で、回復期機能の需要が増加すると見込まれる。
また慢性期機能に限っては、人口構造の変化とは別の理由で需要を少なく見積もる。国は、医療の必要度が低い入院患者が一定数いて、そうした人が今後は在宅で暮らせるようになると見込んでいるのだ。そのためには在宅患者を支える医療・介護サービスが不可欠で、都道府県は地域医療構想に、在宅医療の提供体制の充実策も盛り込んでいる。
■医療界に走った衝撃、実際はそれほどでも?
都道府県の必要病床数の推計は、そうしたことを前提にしているが、これに先立つ形で政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が各都道府県の必要病床数を推計、15年6月に結果を公表している。
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