総務省消防庁によると、2015年の救急車の出動件数は605万4815件と初めて600万件を突破した。搬送された人のうち、65歳以上の高齢者は全体の過半数を占める一方、その4割近くは入院の必要がない軽症者だった。二次救急病院の減少が続き、救急搬送が危機的な状況を迎える中、東京都内では、在宅療養中の高齢者らを対象に、病院の救急車を活用した新たな取り組みが始まっている。八王子市の現状を取材した。【敦賀陽平】
15年に救急車で搬送された人の数は547万8370人で、6年連続で過去最高を更新。このうち65歳以上の高齢者は全体の56.7%、前年比3.4%増に上り、同年の国勢調査の人口で見ると、おおむね11人に1人の高齢者が搬送されたことになる。
高齢者の搬送を重症度別で見ると、「中等症」が149万8590人で最も多く、次いで「軽症」(119万3576人)、「重症」(34万5331人)などの順。高齢者の中等症と軽症だけで、搬送全体の半数近くを占め、過去10年で中等症は約45万人、軽症は約42万人それぞれ増加している。
一方、厚生労働省によると、昨年3月末現在、全国の二次救急医療機関の数は2733施設で、5年連続で減少している。20年前と比較すると、二次救急病院の数は1399施設減っているのに対して、救急車の出動件数は8割近く増えている。
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