米英のオプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価は日本の半値以下―。全国保険医団体連合会(保団連)は昨年秋、衝撃的な事実を明らかにした。日本と海外との価格差の問題は、その後の国会でも取り上げられ、大きな議論となった。保団連の住江憲勇会長は、「今後、オプジーボのような問題が起こらないよう、国民が監視できるような透明性が求められる」と主張し、製薬企業の情報開示の重要性を訴える。【聞き手・構成=敦賀陽平】
一方で、さまざまな問題も浮かび上がった。まず、今回の一件で企業倫理が厳しく問われた。2点目として、臨機応変に対応できるような制度設計の必要性が明るみに出た。そして3つ目は、薬価決定までのプロセスの問題。公正で透明な薬価制度に向け、この機会に徹底して追及していきたいと考えている。
特に企業倫理の問題が大きい。オプジーボは当初、悪性黒色腫のみが対象で、推計患者数も470人だったが、非小細胞肺がんへの適応拡大に伴い、患者数が1万5000人に急増した。薬価調査後の年末に適応が広がった関係で、翌年の薬価改定における再算定の対象から外れ、今回の事態に発展した。中医協(中央社会保険医療協議会)のヒアリングでは、製薬メーカー代表から「小さな市場から入り、適応拡大していくことは企業戦略」との発言もあり、議論になったところだ。
●第1回
医療機関の説明責任も問われる(CB)
ニボルマブ50%引き下げは妥当か(MT)
●第2回
高い原価率…製薬企業は透明性の確保を(CB)
費用効果の鍵握るバイオマーカー(MT)
●第3回
健康増進だけが「保険者機能」じゃない(CB)
免疫CP阻害薬の現状と展望(MT)
●第4回
高額療養費、患者は“コスト意識”を(CB)
C型肝炎治療薬は高額でも費用効果良好(MT)
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