昨年、超高額ながん治療薬として話題となった「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の薬価が2月1日から半額になる。今回の見直しは、薬価制度の不備や医療費の高騰など、さまざまな問題を投げ掛けた。メディカルトリビューン(MT)との共同企画の第2弾では、有識者らの意見を交えながら、高額薬剤の問題について改めて考えてみたい。 |
今回の問題は、私たちのコスト意識にも疑問を投げ掛けた。患者の自己負担額には、高額療養費制度による上限がある一方、診療報酬は、審査支払機関を通じて医療機関に支払われるため、医療費の全体像が見えにくい。財政制度等審議会の臨時委員も務める一橋大国際・公共政策大学院の佐藤主光教授は、「公的医療保険に多額の税金が投入されている以上、医療機関に説明責任が問われるのは当然だ」と話す。【聞き手・構成=敦賀陽平】
特に高額な薬剤については、公的医療保険の対象にする前の段階で、すべての薬に関してガイドラインを定めるべきだと思う。実際にガイドラインを使用すると、新たなニーズが出てくるかもしれない。現場の声をよく聞きながら、見直していく必要がある。
2つ目は、もともとの薬の値段が適正だったのかということ。通常、物の値段は需要と供給で決まるが、薬価は公定価格なので、患者のニーズが適正に織り込まれているかどうかは分からない。今回の一件は、薬の値段の決め方そのものに疑問を投げ掛ける結果となった。
●第1回
医療機関の説明責任も問われる(CB)
ニボルマブ50%引き下げは妥当か(MT)
●第2回
高い原価率…製薬企業は透明性の確保を(CB)
費用効果の鍵握るバイオマーカー(MT)
●第3回
健康増進だけが「保険者機能」じゃない(CB)
免疫CP阻害薬の現状と展望(MT)
●第4回
高額療養費、患者は“コスト意識”を(CB)
C型肝炎治療薬は高額でも費用効果良好(MT)
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